
これまでの栽培で感じたことをメモします。
栽培当初は色々調べたのですが、育てていくうちに、苗(個体差)・気候・環境条件において、色合いや栽培方法が全然違うと気づきました。
植物は環境適応能力もあるからだと思います。
情報発信している人の多くは、その人の環境での成功談であるため、同じことをしても自分の環境には合わないは多々あります。
これから栽培を始める方に、少しでも参考になればと記載します。
私の栽培環境
地域は埼玉県です。住宅地で、夏は太陽が高いので日当たりがいいのですが、冬に太陽が低くなると日当たりが悪くなります。
夏は、日差しが強く風が吹かないため、高温障害(変色や葉がぼろぼろ落ちる)が発生しやすいです。
冬は、日当たりが悪いため土壌は蓄熱できず、晴れた夜は放射冷却が強いため、温室は外気より低い温度になります。曇りの日や雪の日にマイナスの気温になっても耐えられる苗は多いのですが、
放射冷却が強い日は経験上弱る苗が多く出ます。(品種によって耐寒温度は変わります。)冬は強風の日が多いです。
カビが生えやすい環境だと感じます。水分と栄養があるとすぐにカビや菌が繁殖し、苗がやられてしまうので、特に気を付けています。
栽培時に特に気を付けていること
根張りがよく元気な苗を育てているときは、多肉植物の栽培って簡単だな、葉挿しでも増やせるし、増える一方ではないかと思っていました。
斑入り品種や耐寒性が低い苗は、デリケートなので、気を抜いて強い日射しにあててしまったり、日が足りず徒長させてしまったり、弱っているときに水をやりすぎて根腐れさせてしまったりと、育成が簡単な品種もあるけど、難しい品種もあるなとわかりました。何度か経験することで対策が見えてきますが、経験しないと対処は難しいように思います。
根を育てる。
当初は他の植物と同じく、根が出て簡単に育つと思っていました。子供の頃はサボテンに飽きて水やりを忘れて干からびさせていましたが。
花壇での栽培の際は、土が常に適度に湿っていたため、多肉植物を育てやすく、根腐れも全く起きない環境で楽でした。ただし冬に、霜柱や霜の影響で苗を駄目にし、鉢植えに変えた時に、月に1~2苗根腐れする苗が出てきました。
当初の失敗の多くは、根がきちんと張っていない、または水が必要ではない時期に必要以上の水分を鉢の中の土に保持してしまったことでした。
カット苗を購入していると、元気な苗はどんな方法でも根が出てきますが、根張りが弱い苗も同じような管理をしてしまって失敗をしていました。
また希少な錦品種の葉挿しが安いからと飛びついて、配送中に葉挿しの根が枯れ元気も残ってなく、手元で徐々に枯れていくのを見ているだけ、などを経験して苗を駄目にすることは減ってきました。(ただし、コロナの時期に体調を崩して4か月水やりをしていなかったので、温室内の苗の多くはからっからに枯れていました。)
一番鍛えられたのは、薬が入った苗です。見た目は元気そうなのに、根張りが斑入り品種より弱かったです。初めは無知で、白く変色しているタイニーバーガーを駄目にしては購入してを繰り返しました。やっと育てられるようになったら、あれ?色が変わっているし、すごい元気じゃんとがっかりしました。(値段も薬で色が変わっているだけなのに高くてがっかりです。)
→ 発根管理のページ(編集中)
適切なみずやり。(水やりにあった土の配合)
多肉植物は葉に水を蓄積しているため、しばらく水やりをしていなくても急に枯れることはなく、葉が萎れてきたらちょっと水やりするだけで元気になります。
根が出ていない苗は根気強く待ちますが、気温が寒いと根が出ないことが多いので、10℃以下の環境で発根待ちはお勧めしません。
他の植物に比べると、多肉植物はかなり水やりは控えめにしなければなりません。
花や野菜と同じ感覚で水やりをしてしまうと根が腐って、苗を駄目にしてしまいます。
冬や夏の時期は、水やりを全くしない方もいます。私の環境では、それだと葉が少なくなり、それは嫌だったので、通年水やりをしていますが、時期によってタイミングと量を変えています。
毎日多肉植物の世話をできるのであれば、水やりできるタイミングは増えるので、管理しやすいと思います。
私は時間を取れないため、水やりできる回数に合わせて土の配合を変えることをしばらく試しました。土の配合を変えたことで、トラブルが減りました。
私は水やりは根を育てるを重視しています。苗に水をあげようとして茎の周りに水分が残りすぎると根腐れします。水をあまり吸わない時期程、根に少し水をあげる程度の水やりをします。(茎に水をかけず、根の先端に水をあげます)
また多肉植物では、水やりのメリハリが需要となります。水が必要な時期はしっかり水やりをして苗に水を吸わせて、その後土をしっかり乾かすことで、根の成長を促すことが大切です。水を連続であげていると、根が水にぬれたままの状態で酸欠になり、腐ってしまうことが多いです。根が腐った箇所から菌が入りこむことで根腐れが発生しやすくなります。(よかれと思って肥料をあげすぎるのも厳禁です。濃度差で根が水を吸えなくなり、枯れてしまいます。)
→ 土の配合のぺージ(編集中)
→ 水やりのページ(編集中)
日射量を確保する。
栽培当初は、すぐに直射日光に当てて葉焼けを起こしたり、大事にしまって日当たりが悪く、徒長させてしまうことがありました。慣れてくると、この場所でこの程度光に当てればでいいんだや、無理に直射日光に当てなくても育つなどわかってきます。
午前中の涼しい時間に直射に日光を当るだけで順調に育つ苗は多いと感じます。ただし日射量が足りない苗は徒長してきます。(初めのころは木立する苗を徒長かとおもってしまいました。ラブリーローズやグラプトベリアはすぐに茎が伸びます。)
斑入り品種でも結構光が必要と感じる苗は多いです。ただしややこしいのは、急な変化に弱いです。徐々に太陽に慣らす必要があります。
慣れたと思ってそのままにしていると急に日射しが強くなった日に葉焼けをして、運が悪いと苗が全滅します。自然相手が嫌であればLEDライトの栽培も考えられます。
室内管理にしたときは、窓際で朝から夕方まで光が入っているので大丈夫だろうと思っていたら、2重ガラスでUVカットが入っているからか、大部分の苗が徒長して窓際管理はダメとわかり、室内栽培では、適切な光量が確保できるLEDライトに変更しました。LEDライトは植物用と記載があったので何も考えずに購入したら、多肉には向いていないものを購入してしまいました。光量が足りないライトを利用すると、苗が徒長してひょろひょろになり、どんどん葉のサイズが小さくなってしまいます。
アガボイデスなどはすぐに徒長しないので光量不足かわかりづらいです。セダムで試してみるとよくわかります。
私の環境では、一年を通じて西日に当たる場所に苗を置いておくと、苗が黄色に変色します。日中は日当たりが悪いのですが、冬も西日は当たるので温室内でも西日を当てた苗は黄色く変色して、弱ってくると葉が縮れてきます。逆に朝日があたり、昼には直射日光があたらなくなる側は、多肉植物が徒長もせずによく育ちます。冬以外の時期はこの場所だとかなり管理が楽になります。
予備を育てる。
初めのころは胴切りには躊躇するし、葉挿しも取りづらい品種があり、迷っている時に苗を駄目にしてしまい後悔することがありました。
苗が駄目になっても予備があると救われます。
経験しないとわかりづらいですが、葉挿しをしづらい品種や葉挿しでは斑なしになるなどあるので、その場合は胴切りを行います。
ただし、斑が安定していない品種は胴切りでも斑なしがでることが多く、胴切りしたことで、弱って駄目にしてしまうケースもあるため注意が必要です。
胴切りをした際は、切り口を綺麗にして早く乾燥させないとカビや菌に侵されてしまうことがあります。梅雨の時期は切断面を焼いたときもありました。あまり焼きすぎると影響を受ける範囲が広くなるのでお勧めしません。暖かいところで切断後に乾燥させるといいです。早い苗は数日でまた根がでます。
増やすのも寒い冬や、暑い夏はお勧めしません。苗がおちついて成長に切り替わるのも時間差があるので暖かくなってきたなというタイミングがチャンスと思っています。春が過ぎると夏がくるので、春の間に成長させて苗を元気に育てると後の管理が楽になります。
元気に育てていた苗は、元苗が枯れたり、苗の生長点をカットすると、脇芽を伸ばし、結果的に数が増えます。
品種にもよるので増えずらいものもありますが、苗を元気に育ていると、トラブル発生後も全然違います。
元気な苗を入手する。
元気な苗は購入時に根がなくても、ちょっとした刺激ですぐ根が生えてきます。ただし、私の経験上では冬の寒さに当ててしまうと根を出さない苗が多くなります。(冬は室内で発根させるようにしています。)
弱っている苗は、根が出ずらく、その間に強い日射しや寒さに当てるとさらに弱りやすく、また虫害などにあいやすく、カビや菌に対する抵抗力も下がっているので扱いづらくなります。
栽培当初は、全斑の葉が真っ白な苗を高くても購入してしまいましたが、光合成ができずに徐々に弱っていく苗が多かったです。
その後色々育ててみると、全斑に近い苗でも元気に育つ苗があることはわかりましたが、枝から出た全斑を根が出る前にカットしてしまうと、発根にエネルギーを取られて弱ってしまうようです。根がでてからカットした全斑の苗で育ったものもありますが、気を遣わないとすぐに葉焼けや葉が落ち、管理が面倒なのでそのうち茎だけの棒になっていました。
対策が必要なこと
害虫対策
地域や環境によって、発生する害虫や時期が変わります。害虫によって、茎を溶かされてしまう、虫が吸った場所から菌が入ってしまう、苗の生長が阻害されてしまうなど様々なトラブルが発生します。根腐れの原因が水やりではなく害虫被害だったことも多いです。
斑入り(錦)品種は害虫被害を受けやすいです。コバエもしっかり対策をしておかないと幼虫に茎の内部を食べつくされてしまうなどのトラブルに会う可能性があります。
私は土に培養土を混ぜますが、培養土を使うことで、虫の発生確率は高くなります。なので安易に培養土を使うことはお勧めしません。
ベランダ栽培の時は、2階だからか害虫被害は全然ありませんでした。外管理の苗は様々な害虫被害を受けます。温室は暖かくしていると1年中スリップスが発生します。
コバエなどが発生する時期は、電撃式殺虫器を置いています。
カビや菌への対策
栄養分と水分があるとカビや菌が発生します。多肉植物は肥料は不要という人もいます。私は試してみて肥料を使った方がいいと感じたのと、土を使っているのでカビや菌は発生するのは避けられないと思っています。(何も考えずに培養土を使うと虫や菌の発生原因となります。)
元気な苗は、カビや菌に抵抗力があるように感じますが、弱っている苗はすぐにやられます。
菌が、根や虫が吸った茎から維管束に入りこんでから、苗全体に菌が回るまでの時間は早いので、菌が入り込んでいる(茎が黒ずみぶよぶよしている)のを見つけたら、すぐに黒い部分がない場所までカットする必要があります。切っても苗に菌が残っているとすぐに菌が回って駄目になってしまいます。
覆輪の全斑(緑の部分が少ない)の苗は、油断をしていると葉の表面にうどん粉病のような白い粉のような菌が付きます。この菌がついてしまうと、時期にその部分から腐ってくるとともに、対応が遅れると、苗全体に菌が広がって苗がだめになってしまいます。根張りが安定しているときは起こりづらいですが、カットして発根を待っているときや、苗が弱っている時に菌が付着して広がりやすいように感じます。
扇風機などを使って風通しを良くする対策は効果的です。